2023年5月までの目標に対する進捗総括

CSRマテリアリティに含まれる「主要なテーマ①~⑨」に関し、2023年5月までの目標に対する進捗総括は以下のとおりです。

①医療費削減、患者負担軽減への取組み

  • 原薬では、既存品目の登録整理が重なったことにより、MF登録数は減少しました。一方で、研究開発の成果として過去4年間で合計6件の新規登録を実現しています。新設した第七原薬棟も商用生産を開始しており、グループ各社との連携強化や生産体制の最適化も図られています。
  • 製剤では、一部滞りが見られたものの、毎年の新規薬価収載は概ね達成されており、ジェネリック医薬品の供給による継続的な医療費削減が実現しています。また、高薬理活性製剤の増産対応を行ったほか、中国の大桐製薬との連携強化や生産体制の最適化も図られています。
  • 2023年5月期を終えて、医療費削減や患者負担軽減に向けて、当社グループのこれまでの活動を更に拡充しながら継続していく必要があると認識しています。
  • そのため、今後は、原薬、製剤ともに、研究開発強化による新規品目の着実な増加と、新たな工場(第七原薬棟、第十製剤棟)の本格稼働により、生産能力の向上及び収益性の向上に努めます。
  • また、グループ各社との連携強化も含め、より一層の品質確保と安定供給に向けて注力します。

②サステナブル調達の推進

  • 「サステナブル行動規範」及び「サステナブル調達ガイドライン」の策定は完了し、当社ホームページに掲載しています。また、「調達基本方針」の策定も完了しています。
  • 2023年5月期を終えて、サステナブル調達を更に推進していくためには、サプライヤーの皆さまに当社グループのサステナブル調達に対する考えを理解・支持していただくことが重要であると認識しています。
  • そのため、今後は、上記の方針や行動規範を当社グループ内へ周知徹底するとともに、サプライヤーに対しても順次、サステナブル調達ガイドラインの遵守依頼や調査票への回答依頼を行い、運用面の充実に取り組みます。

③従業員の能力開発・就業環境の向上

■カテゴリー1:人材育成

  • 人事制度の再構築と、それを踏まえた全社的な「階層別研修」の新体系構築はひと通り完了しています。
  • 2023年5月期を終えて、今後も従業員一人ひとりにより適した能力開発の機会を提供できるように、研修体制を強化していく必要があると認識しています。
  • そのため、今後は、階層別研修の内容の更なる充実と併せて、eラーニング教育等による職種別・テーマ別研修の充実に取り組みます。

■カテゴリー2:働き方改革

  • ワーク・ライフ・バランスの向上に関しては、育児休職制度の利用者数には増加傾向が見られています。2023年5月期を終えて、従業員一人ひとりのライフイベントに柔軟に対応できる労働環境の実現が必要であると認識しています。そのため、今後も、休業を取得しやすい雇用・職場環境の整備に注力し、男性も含めた育児休業の取得促進を図っていきます。
  • ダイバーシティの推進に関しては、女性管理職比率や障がい者雇用率の改善はほとんど見られていませんが、高齢者就業については、再雇用期間の延長(68歳から70歳へ)を行っています。2023年5月期を終えて、持続可能でしなやかな組織を構築するためにも、社内のダイバーシティの充実に向けた職場環境づくりが重要であると認識しています。
    そのため、今後も、ダイバーシティ研修の実施等を含め、多様性に関する全社的な意識向上と、女性活躍の推進、障がい者雇用の促進に取り組みます。
  • 健康経営の推進に関しては、健康診断受診率は毎年100%に近い状態であり、体のケア、心のケアに関する各種取組みも継続的に実施されています。2023年5月期を終えて、組織の活性化を図る上でも、健康経営により一層取り組み、従業員の心身の健康づくりを継続的に支援していくことが必要であると認識しています。現在は「健康企業宣言」のStep1(銀の認定)まで取得していますが、今後はStep2(金の認定)で求められているレベルの対応にも着手し、認証取得を目指します。

④労働基準の遵守

■カテゴリー1:長時間労働の削減

  • 目標であった「一人当たり残業時間の減少率:5.0%」と「有給休暇平均取得日数:12.0日/年」は、概ね達成されています。
  • 2023年5月期を終えて、長時間労働の削減は従業員の心身の不調の発症リスクを減らし、高い生産性を維持するために重要な施策と認識しています。
  • そのため、今後も長時間労働の削減に向けた各部門の負荷軽減、人員増強に関する施策の強化と、有給休暇の取得促進を継続的に実施していきます。

■カテゴリー2:ハラスメントの防止

  • ハラスメント防止研修は、全社員向けと新入社員向けに分けて、年1回、継続的に実施されています。受講率については、目標100%に対して、新入社員向けは100%(目標達成)であり、全社員向けは目標には届かなかったものの、過去3年間90%以上と高い受講率を維持できています。
  • 2023年5月期を終えて、ハラスメントの防止にはハラスメントを許さない社内風土の醸成が不可欠であり、従業員一人ひとりがハラスメントについて考える機会を持つことが有効であると認識しています。
  • そのため、全体の従業員数も増加していますが、今後もハラスメント防止研修の定期的な実施を継続し、受講率の向上とハラスメント防止意識の向上を図っていきます。

⑤人権の尊重

  • 「人権の尊重に関する方針」の策定は完了し、和文・英文を含めて、当社ホームページに掲載しています。
  • 2023年5月期を終えて、人権の尊重に関する従業員一人ひとりの理解や意識を高め、会社全体として人権尊重の責任を果たしていくことが重要であると認識しています。
  • そのため今後は、同方針の社内への周知徹底により、従業員の人権意識の向上を図ることに加え、人権侵害に関する通報・相談窓口の設置や、人権デューデリジェンスの実施といった運用面の取組みを強化していきます。

⑦腐敗防止

  • 従来の「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」の遵守に加え、新たに「腐敗(贈収賄)防止指針」と「腐敗(贈収賄)防止ガイドライン」を策定し、当社ホームページに掲載しています。
  • 2023年5月期を終えて、社会からの信用と信頼を守るためにも、従業員一人ひとりが腐腐敗防止に真剣に取り組むことが重要であると認識しています。
  • そのため今後は、同指針・ガイドラインの社内外への周知・啓発に努め、従業員や関係者の腐敗防止意識の向上を図っていきます。

⑧気候変動への対応

  • 連結グループ全体でのGHG排出量(Scope1, 2)、エネルギー種別投入量の集計体制の整備は完了し、集計マニュアルも完成しました。
  • Scope3排出量については、ダイト単体での算定を開始しています。2023年5月期を終えて、今後、当社グループの事業規模の拡大等に伴う社会への影響を的確に把握する上で、Scope3排出量の算定範囲の拡大(連結グループでの算出など)も重要になってくると認識しています。
  • 省エネルギー・GHG排出量削減の取組みについては、環境配慮型設備の導入や太陽光パネルの設置等を含め、徐々に進んでいます。2023年5月期を終えて、今後長期的なGHG削減目標を策定した上で、取組みを強化していくことが、脱炭素社会の実現に貢献するために重要であると認識しています。
  • TCFD提言の枠組みに沿った気候シナリオ分析については、「潜在的な財務影響の定量的な評価」まで完了しました。今後は、その結果を踏まえた対応策を検討し、更に経営戦略への統合に取り組んでいきます。

⑨水資源に関する管理活動の推進

■カテゴリー1:取水量の削減

  • 取水量の削減に向けた準備として、取水量集計マニュアルを作成し、連結グループの取水量集計体制の整備を完了しています。また、削減策として、地下水の循環利用に関する取組みを開始しています。
  • 2023年5月期を終えて、当社グループで水リスクが顕在化した拠点はありませんでしたが、今後の気候変動の影響等も考慮し、取水量を削減していくことは重要と認識しています。
  • そのため今後は、長期的な削減目標を定めた上で、更なる削減策を推進していきます。

■カテゴリー2:排水水質管理

  • 日常的な水質管理の取組み実施により、水質規制違反の発生は抑えられています。
  • 2023年5月期を終えて、生態系や人々の生活への影響も考慮し、排水による環境への負荷を引き続き低減していくことが重要と認識しています。
  • そのため今後は、基準値の厳格化や遠隔監視設備の設置などにより、水質管理体制を更に強化していきます。