研究開発本部
研究開発本部では、市場のニーズや情報をいち早く察知しながら、原薬の合成から、製剤(医薬品)の処方設計までの開発を行っています。
医薬品の品質は研究開発のレベルで決定されるといっていいほど、研究開発は重要なプロセスです。
製剤は人体に直接使用されるものであり、安全性、有効性、品質が確保されなければなりません。世界で厳格化されている品質基準に対応可能な原薬や製剤の開発を行っています。そして、患者様のお役に立ち、社会から必要とされている高品質な原薬や製剤の生産と供給につなげています。
原薬: 製剤(医薬品)に含まれる有効成分(主薬原料)
製剤: 原薬に乳糖やでんぷん等の添加剤を加え、錠剤や顆粒剤などに加工された医薬品のこと
事務エリア
研究開発本部の約70名の事務作業エリアです。研究開発本部では、原薬と製剤両方の開発はもとより、試験方法や規格の開発や、開発品の承認申請などの薬事対応も行っています。したがって、各部門間や部門内での連携が重要です。情報共有を行い、迅速な開発や改善に役立てています。
事務エリア内の打ち合わせスペース
研究開発本部の事務エリアの中央には大きな机が置かれており、いつでもそこに集まって打合せができるようになっています。コミュニケーションを密にし、開発スピードの向上に役立っています。
自動反応装置
原薬開発では、限られた時間で多くの実験を行う必要があります。
この自動反応装置は2つの反応槽を有し、パソコンから別々の反応条件の制御が可能です。また、様々なインラインセンサーを併用することにより、効率的なデータ取得に役立っています。
フロー合成装置
ダイトでは近年、注目を集めつつあるフロー合成にもチャレンジしています。
マイクロリアクターを使用して、反応のパラメータを容易に変化させることができます。バッチ式(初めに原料を全て仕込む反応)の実験では難しい反応条件を検討することができ、将来の新しい可能性の発見につながっています。
HPLC
高速液体クロマトグラフ(HPLC)は、有効成分の定量や、不純物の定量を行う分析装置です。
本装置を用いて、開発を行っている原薬や製剤の試験法の検討など、当局に申請するためのデータ収集を行っています。
溶出試験器
溶出試験器は、人の体内に近い条件(pH)で、製剤の薬物が溶け出す時間と溶出率を測定する装置です。
経口固形製剤の薬物が消化管内で溶解し、体内に吸収され、血流に運ばれて効果を発揮します。
錠剤の溶け出す時間と溶出率が、先発品と同等であるならば、製剤の有効性・安全性・品質も先発品と同等とみなされます。
LCMS-IT-TOF
LCMS-IT-TOFは、液体クロマトグラフ(LC)と質量分析計(MS)を組み合せた装置です。
化合物を分離した後に、イオン化した各化合物を検出することができます。特に、質量分析部分は、イオントラップ式(IT)の飛行時間型(TOF)を採用し、精密分子量の測定が可能です。
合成した原薬だけでなく、原料及び中間体に含まれる微量不純物の構造推定を行い、品質向上に役立てています。
NMR
NMR(核磁気共鳴装置)は化合物の構造決定に用いられ、有機合成においては、お馴染みかつ不可欠な分析装置です。
合成した原薬だけでなく、原薬に含まれる微量不純物の構造を決定するために用いています。このほか、固体測定も可能であり、原薬の結晶多型評価にも用いることがあります。
20L反応装置
原薬開発においては、多くの実験を行い、原薬の製造プロセスを確立し、原薬工場に技術移管を行います。この最終段階で、20L反応装置を用いて試作を行います。20L反応装置は、製造プラントを意識した設計になっているため、小さなスケールの実験で判らない様々な影響を評価することができます。その結果、原薬工場でのトラブルを未然に防ぐことが可能です。
流動層造粒乾燥機
流動層造粒乾燥機は、粉末の原料に精製水などの結合剤を加えて、粉体粒子同士を結合させ、高速で混合して乾燥させることにより、造粒する装置です。
また、錠剤をコーティング剤によって被覆することにより、湿気などからの保護、苦みの抑制、溶出の制御が可能となります。
打錠機
製剤研究で用いる試作用の小型打錠機です。開発段階において処方・造粒条件・打錠条件などを変化させて試作し、実生産における好ましい条件を探ります。
電子顕微鏡
電子顕微鏡は、500倍から2,000倍の世界を容易に観察できる装置です。
主に、原薬の結晶表面の観察に用います。ほんのわずかな晶析条件の違いで起きる原薬の粒度の違いは、製剤の物性に大きく影響します。
電子顕微鏡観察では、結晶の表面の状態を観察し、原薬の製造条件の評価に役立てています。また、製剤の溶出試験の改善検討などでも、原薬の粒度評価を行っています。
マイクロ波試料前処理装置
ICP-MSなどの微量元素分析においては、試料の前処理を行う必要があります。マイクロ波試料前処理装置は、高温高圧化の状況で、マイクロ波により、試料を短時間で目的温度まで昇温させることにより、試料の分解を行う機械です。
プロセス研究棟
原薬の工業化(※)検討や、試験法の検討など、工業化プロセスの研究開発を行っています。
(※)工業化とは、既に商業化された製品の製法や製造場所等の見直しにより、収率や作業性等の改善を図ることをいいます。
高薬理R&Dセンター
2017年に新設された、高薬理活性物質類の研究・開発、試験を行うための施設です。
1階と3階は試験室、2階は原薬の実験室、および製剤の試作・小スケールの製造室です。
2階は治験薬製造(製剤)にも対応しています。